本年度は、手続き的説明文としての社会科教科書のテクストの特徴と授業での取扱い方について考察した。先行研究の検討から、手続き的説明文としての社会科テクストは形式や視点が多様で、配列が並列的、分散的であること、情報内容としては断片的で情報相互の関係性が明示されていないこと、示された情報を取捨選択し、関連、結合させて理解する読みのあり方が必要となることが確認できた。一方、国語科の手続き的説明文の読みの観点としては、キーワード探索力、文(文章)の性質を捉える力、非連続型テキスト読解の観点を読み取る力、特徴的な表現形式に即して読む力等が得られ、社会科教科書テクストとの対応を考えると重要な力であることが明らかになった。これらの成果を踏まえ、手続き的説明文を中心とする3年生社会科の実践を事例研究的に考察した結果、手続き的説明文を読むことに必要なキーワード探索力や文(文章)の性質を捉える力、特徴的な表現形式に即して読む力等の伸長を図ることが可能であることが示唆された。また、読み取らせたい事柄・内容とメタディスコースに相当する指導言をセットにして意図的に活用することの必要性が示された。説明的文章の読解力を教科横断的に育成するための実践プログラム開発に向けては、次の点に配慮した読むことの活動を国語科、他教科双方の読みの学習において重視する必要性が明らかになった。(1)体験、既有知識との対応を促すこと。(2)キーワード探索や文(文章)の性質を捉える活動等を設定し、内容を直感的、概括的に捉える読み方を促すこと。(3)文章と図表、写真等を対応させる読みを促すこと。(4)内容を要約し小見出しを付ける等の活動を積極的に行うこと。(5)自己にとって有用、価値ある情報を取り出す読みを促すこと。(6)情報内容の必然性、過不足等を対象とする批判的読みを促すこと。
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