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2011 年度 実績報告書

戦後日本の理科カリキュラムデザインに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20530824
研究機関広島大学

研究代表者

柴 一実  広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60145175)

キーワード理科研究関東地区委員会 / かんさつときろく / しんたのしいかがく / 自然の観察 / 教科書検定基準 / 理解の目標
研究概要

本年度は5ヵ年間にわたる研究期間の第4年次であり,戦後日本の理科カリキュラムデザインに関する文献資料の収集に努めると共に,収集した文献資料の分析検討を行った。従来の先行研究では,戦後から1950(昭和25)年に検定教科書が発行されるまでの低学年理科カリキュラムの実態が明確ではなかった。そこで,本年度は理科研究関東地区委員会発行の代用教科書『かんさつときろく』等の一次資料を入手し,戦後の理科カリキュラムの成立と展開,及び理科カリキュラムの日本的特質を明確にする目的で考察を行ったところ,次のような点が明らかになった。
(1)1947(昭和22)年に発足した理科研究関東地区委員会によって作成された第1~3学年用代用教科書『かんさつときろく』(新教育協会)(1948)において,戦前からの『自然の観察』(1941・42)と同一単元は約32~61%であった。残りの単元は同委員会によって新しく盛り込まれていた。(2)1951年に発行された検定教科書『しんたのしいかがく』(日本書籍)は代用教科書『かんさつときろく』の内容をそのまま踏襲するのではなく,1949年2月に告示された教科書検定基準である「理解の目標」に基づいて修正されていた。(3)単元「しゃぼんだま」は『自然の観察』,『かんさつときろく』及び『しんたのしいかがく』においても取り上げられていたが,その内容は変化していた。その背景として,戦後の教科書内容基準としての「理解の目標」が影響していた。(4)このように検定制度に基づく教科書編纂が始まる以前から,理科においては理科研究地方委員会に参画した多くの教師によって,民主的な教科書作成が行われていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

従来の先行研究では十分ではなかった,戦後の理科カリキュラムの成立と展開に関する研究が学習指導要領や理科教科書などの分析を通して進展しつつあり,申請時に立てた研究目的は概ね達成されつつある。

今後の研究の推進方策

戦後日本における地方での理科教科書や科学読み物などの出版に大きな足跡を残した出版社として,広島図書が挙げられる。今後は,同社が戦後の理科教育に果たした役割を科学読み物や科学雑誌などの潜在的カリキュラムの視点から明確にしたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 戦後理科教育改革関係資料の研究(VII)2011

    • 著者名/発表者名
      柴一実
    • 雑誌名

      広島大学大学院教育学研究科紀要・第一部

      巻: 60 ページ: 45-54

  • [学会発表] 戦後における理科教育の革新(11)-小学校低学年の代用理科教科書を中心に-2011

    • 著者名/発表者名
      柴一実
    • 学会等名
      日本理科教育学会第61回全国大会
    • 発表場所
      島根大学
    • 年月日
      2011-08-20

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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