平成20年度は3年次にわたる本研究の1年目であり、具体的な形に残す成果には至らなかったものの、準備段階としての資料・条件整備や予備考察を行い、次年度以降の実践的研究段階に備えることができた。実施した研究的作業は次の2つの内容である。 1)本研究以前において収集した多種の歴史情報媒体に対して検索可能な見出しをもって整理する。この作業は、歴史叙述図書(通史全集等)、事典、統計資料集、写真集、DVD、博物館展示物写真、歴史史料集、古地図などを対象に、ある程度取扱う題材を絞り込んで、内包している情報のデータベース化を試みるものであるが、本年度は特に対象を日本の中世に焦点化し、教材化視点の多様化をはかる資料を収集したほか、教育実習生が教材研究で頻繁に使用する図書類の掲載資料の情報整理を行った。 2)各歴史情報媒体を提示するための教具面の検討を通して提示のヴァリエーションを検討する。この作業は、歴史情報の提示と、それに対応する学習活動に関して、実物や一次史料を使用して有効な映示・活動方法の検討を試みようとするものであるが、本年度は特に現職派遣の大学院生の協力を得て主に実物提示による学習活動の可能性と有効性を探った。 なお、こうした具体的な研究的作業と並行して、本研究の基本的視点である歴史情報の解読・解釈活動として構成する歴史学習のあり方を中心とする歴史学習の今日的課題に関し、平成20年10月の全国社会科教育学会(宮崎大学)において、研究代表者がコーディネータとなり4名の研究者・実践者の課題研究発表を通して論点を明確化できたのも重要な成果であった。
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