研究課題/領域番号 |
20530828
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田邉 隆 愛媛大学, 教育学部, 教授 (80155192)
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研究分担者 |
杉山 允宏 愛媛大学, 教育学部, 教授 (20034580)
井上 洋一 愛媛大学, 教育学部, 講師 (90510892)
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キーワード | 打鍵 / 倍音 / パワー包絡 / ハンドベル / トーンチャイム |
研究概要 |
打鍵楽器の中でも、特にトーンチャイムの打鍵時の衝撃音が、聴覚的な快・不快に影響を与えている。さらに打鍵時の衝撃音の中に、金属音が多く含まれる場合は演奏上避けたい音色として認識される。トーンチャイムの特徴として低音域では、第5倍音の音量が多く、中音域では奇数倍音の音量が多くなり、高音域では偶数倍音の音量が多くなった。特注(非売品)のC7以上の高音域では、第3・5・7の奇数倍音が多い結果となった。 打鍵時の衝撃音、すなわち立ち上がりの包絡は、「パワー包絡」解析で示すことができ、4種類の型に分類できた。第1型は0.2sec.前後で音が徐々にピークに達する型。第2型は最初のピーク後0.2sec.前後で再度同音量ないし同音量以上のピークを形成し、その後減衰する型。第3型は最初のピーク後0.2sec.前後で再度ピークを形成するが、その音量は減衰線に準じたピークを示す型。第4型は打鍵時のピークのみで減衰する型である。また金属音が多い場合は、第12倍音以上の音量が多いことに加え、第7倍音の音量も多い。 これらの結果、立ち上がり時の視点からは、柔和な音色を表現する為には、第1型が、次いで第2型が表現上望ましい。立ち上がりを強調する表現では、第3型と第4型が望ましい。いずれの場合も、金属音が含まれる奏法は避けなければならない。 ハンドベルにおける消音時のハーモニックス音は、音価に合わせた消音の技術が問われることを示しているが、演奏上の特殊な表現方法として有効でもある。またハンドベルの倍音構造は複雑で、基音に対して整数倍音の他に、第0.5/1.5/2.5倍音が含まれている。この事は音程の認知に特異な印象を与える要因となっていた。
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