本研究は、生活主義教育の原理に基づいて展開された、音楽授業構成のあり方を明らかにすることを目的としている。ここで研究対象となるのは、創造性開発を目指して、子どもの各発達段階における音楽表現欲求に即しながら主体的な学習活動を組織した授業である。 研究計画にしたがって、国内の各大学から資料を収集するとともに、入手不可能な資料については、アメリカ合衆国の音楽教育研究者の協力を仰ぎながら、その存在を確認し、収集のための海外調査を行った。特に、アメリカ合衆国西部地区の音楽教育関係資料を中心に収集し、整理・分析を行った。今年度は、本研究の最終年度にあたる。研究期間中には、アメリカ合衆国の東部、中部、西部それぞれの地区で、多くの音楽教育関係資料を収集しており、それらの検討・総括も行った。 創造性開発を目指す音楽学習に関する研究は、研究組織の様々なレベルで行われていたが、それらは、1、州、郡、市などの教育局によるもの、2、各教育研究団体によるもの、3、各学校によるもの、4、音楽教育研究者や実践者によるもの、の四つに分類される。それぞれで提案・実践された音楽学習について検討・分析を行った。音楽学習は、一般に、1、総合的な学習の一部として、2、内容的に音楽と近接した教科を統合した広域の学習の一つとして、3、単独のものとして、なされていた。また、学習活動には、歌唱、楽器の制作と演奏、創作、聴取、リズム表現などがみられた。各研究組織は、独自の生活主義教育の様式を構想しており、音楽学習は、これに即して様々な方法で組織されていた。
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