研究課題/領域番号 |
20530832
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
河野 順子 熊本大学, 教育学部, 教授 (80380989)
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研究分担者 |
鶴田 清司 都留文科大学, 文学部, 教授 (30180061)
山元 悦子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20220452)
住田 勝 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (40278594)
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キーワード | 入門期 / コミュニケーション / 言語発達 / 実証研究 / 連携的研究 |
研究概要 |
平成21年度は、「入門期のコミユニケーションの形成過程と言語発達に関する実証的・連携的研究」を推進していくうえで、昨年度熊本県教育委員会の幼少連携地区である合志保育園、熊本大学教育学部附属幼稚園、及び、福岡教育大学附属幼稚園で収集した抽出児のデータ分析を合志小学校、熊本大学教育学部附属小学校、福岡教育大学附属小学校で継続データ収集を行うことができた。さらに、それぞれの抽出児に関わった保育園及び幼稚園、さらには、小学校での保育者及び教師に対してコミュケーショシ観についてのインタビューを集積することができた。抽出児(他者とかかわるのが苦手で自己表現ができにくい幼児)に対する継続参与観察及び抽出データによって、コミュニケーションの形成過程について、内言を経た外言の表出のためには、幼児期においては、(1) 個の興味関心を揺さぶるような話題が共有され、(2) 個の要求が満たされない状況などの葛藤を伴う場において、(3) 切実な他者へ向けた状況が必要であることが明らかとなった。きらに、こうした幼児が入学後、一次的言葉から二次的言葉へと移行しながら、内言を経た外言を表出するために、他者のまなざしを獲得し、他者意識及び自己関与が必要であることが理論では言われているが、それはどのような指導や活動によって可能となるのかを追究した結果、まずは、教師が児童の言葉を受け止め、関わることから、児童同士の質問し、答えるという応答関係を意図的に形成するような場において、他者と積極的に関わろうとする過程や関わらざるを得ないような場において他者のまなざしが獲得されていくことが明らかとなった。さらに、論理言語の形成過程を、熊本大学教育学部附属幼稚園において、五歳児及び四歳児(この四歳児の半数は21年度入園、半数は20年度入園者からなる)を対象に実験調査を行った。その結果、四歳児と五歳児の論理的な関係性を捉える発達の差異及び、四歳児における二年保育と一年保育の園児の推論の差異から、園で行っている遊びや道具を用いた遊びの体験が推論を促し、論理的な関係を捉えることに有効に働くことが明らかとなった。科研の最終年度に向けてカリキュラムの提案のための実験やデーター収集が整った。最終年度へ向けての実験授業のデーターも整った。
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