初任期の小学校教師が反省的実践家として、力量形成していく過程を国語科の授業分析を通して事例的に研究していくことを研究の目的としている。そのために、教師の授業スタイルの変容に着目して、次の二つの視点から捉えようと試みた。第一は、インタビューや実践記録などをもとにして、教師の《ライフヒストリー》から、巨視的に捉える視点である。第二は、教師の《カリキュラム経験》から、微視的に捉える視点である。 平成21年度の研究実施計画では、次の2段階の研究を予定していた。 (1)<文献による先行研究と分析枠組みの確認>引き続き文献によって、本研究の基礎となる最新の研究の把握と、分析枠組の確認を行う。 (2)<実践のデータ収集と分析>研究対象とするのは、2人の初任期の小学校教師である。教職経験1年目から2年目の教師、6年目から7年目の教師を対象に、初任期に入ったばかりの教師と、初任期を脱しようとしている教師の事例をライフヒストリー研究、授業研究、同僚性の研究の観点から分析していく。 これらに基づいて、本年度は、以下のような成果をあげることができた。 第一に、教師教育研究や国語科教育研究、教育方法学研究、心理学研究などの文献によって、本研究の基礎となる先行研究の把握と、分析枠組の確認を行うことができた。 第二に、教職1-2年目の小学校教師と6-7年目の小学校教師の授業データとインタビューデータをそれぞれ1名分、ずつ収集することが出来た。これらのデータから、初任期の国語科実践的知識の具体的な様相を分析していった。 次年度も、さらにデータ収集に努め、これらのデータ分析を行いつつ、まとめを行っていきたい。
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