研究概要 |
研究着手二年目にあたる平成21年度における実績は以下の4点である。第一に,基幹校(立命館大学)内外における協力体制の強化と設定された作業課題の遂行,数学的リテラシーに関わって整理された基本的な論点に基づいた,文科系学生に必須な数学的能力に関する育成ケースの更なる集積である。特に基本Spread sheetを用いた統計的能力に関する必要性の高さが確認され,同時にケースメソッドによる統計的リテラシー向上に関する教授実験の結果を数学教育学会例会にて論文発表した。第二に,文科系(産業社会学部,文学部,法学部,国際関係学部etc)及び理数系(理工学部,情報理工学部etc)を対象とする数学ニーズ実態のコーホート調査及び基礎数学力・数学観に関する第二次ベースライン調査実施である。また特に教員志望の学生を対象にその数学観の変容過程を国際学会(International Conference of Educational Research Learning Community for Sustainable Development)及び国内学会(日本科学教育学会第33回年会)にて論文発表した。第三に,数学ニーズ調査,数学力ベースライン調査,数学観調査の各結果の分析・検証に基づく数学的リテラシー改善点の明確化と文科系における特徴的な回答者に対するペアインタビューの実施である。同成果を国内学会(第47回近畿数学教育学会)にて学術報告した。第四に,文科系学生の数学ニーズ調査結果に適合したプログラム案の試行,及び国内外にて収集したケースメソッド事例の分類と体系化の推進である。これによって次年度以降の継続的な研究課題が明確化された。
|