研究概要 |
私立女子大学の小学校教員養成課程における広領域実践型「理科指導力」育成プログラムの開発に向けて,本年度は以下のような研究成果が見られた。 女子学生および教員の意識調査:溝邊ら(2007,2008)の調査を踏まえ,入学間もない女子学生に「理科の各分野に対するイメージ」を記述する調査を行った。結果は,生物分野には関心があるものの,特に物理・化学分野に関しては,否定的にとらえていることが明らかになった。また,女子大学において小学校教員養成課程の理科を指導している教員を対象に,基礎的調査も行った。その結果,「模擬授業」や「授業見学」,「野外探検」の3項目を今後の改善点として注目していた。 試行実践:A大学の「理科概論(1年次:選択)」において,基礎技能を習得する実習授業が行われた。内容は,簡単な器具の扱いと計器類の使い方,水溶液のつくり方であった。授業後の調査結果では,受講生のほとんどが,本授業に対して好意的であったことがわかった。さらに,実験の基礎技能に対して自信が持てた人数が増えるとともにそれらを教えることに対しても,自信が持てた受講生が多かった。また,同科目において,模擬授業形式を取り入れた広領域型授業も実施された。調査の結果,ほとんどの受講生が「授業が楽しい」「勉強になった」「理科に対する関心度が増した」と評価していた。模擬授業形式の実施についても,ほとんどの者が「授業力向上」や「知識理解の増進」につながるとしていた。理科指導に対する意欲についても受講生全員が肯定的な回答をしていた。 B大学の初等理科指導法(2年次:必修)において,理科指導用教材「物理・化学ノート」の活用を試みた。このノート使用に対する受講生の評価では,「ノート形式」や「例題+練習問題形式」等が高く評価され,解答率も上昇した。この結果から,このノート活用に,一定の効果があると考えられる。
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