本研究の目的は、様々な形態が持つ基本的な性質(動き・錯視)について、造形芸術的側面と科学的側面からアプローチし、造形教青(デザイン)のみならず理科教育(物理)や数学教育(幾何学)の見地からも有用な内容を、体験者が直接手で触って感受できる、あるいはそれに乗って遊ぶことができる大型の教育遊具として開発することにある。さらには、保健体育の領域にも関連する内容を盛り込むことも目指している。 平成22年度(最終年度)の実施では、“Hexasphericon”をベースにした「Space walk on the earth III」の開発を試み完成させた。これは“Sphericon”の構造をもとに、中学生以下の生徒・児童が搭乗できる可能性を追究した21年度の研究成果「Space walk on the earth II」をより大型化したものである。この試作により、おおむね身長155cmから170cmの成人も搭乗できることが検証され、次の研究段階への展開が可能となった。 今年度の研究成果は、23年度の展覧会における展示(第61回モダンアート展,2011年6月21~26日,福岡市美術館・9月5~10日,横浜市民ギャラリー、第7回ピアザ展,会期未定)、ならびに学会等における口頭発表((1)日本基礎造形学会,2011年9月,日本電子専門学校、(2)環境芸術学会,2011年11月,新潟大学、(3)日本図学会,11月末,開催場所未定)ならびに査読付き学会誌投稿論文(「基礎造形020」,2011年3月刊行予定)で公表する予定である。展示に際しては、鑑賞者や体験者から広く意見を聴取し、その反応等を調査したうえで次の試作への参考資料とする。 なお、21年度の研究成果「Space walk on the earth」を2010年8月に国際学会において口頭発表したところ、座長推薦により海外ジャーナルに掲載されることになり、現在査読が終了し最終原稿の投稿中である。
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