昨年度より裏声を引き出すという観点で、子どものイメージを喚起しやすい歌詞、裏声を出しやすいメロディーや音域などについて考慮した教材の開発を進め、全42曲の歌唱教材を試作した。その開発した教材を用い、ピアノ等の個人レッスン指導を行なっている研究協力者に、幼児への指導を実施してもらった。また指導の過程で、教材の改良も随時行なった。 教材の試行で得られた音声データや映像記録、指導の記録等を分析し、教材の有効性と指導法の評価を行なった。今年度は、とくに音声データの機器を用いた音声分析を実施し、声のピッチや、裏声・表声の換声点等のデータを詳細に分析した。その結果、教材のどういった特徴が裏声を引き出す上で有効であったかなど、その効果と問題点が明確となった。 また、昨年度、静岡大学教育学部附属幼稚園において行なった教材の試行について、子どもの声はもちろんのこと、感性や想像力、表現力などに、どのような影響を与えたかなど、多角的に検証を行なった。さらには、東京都および埼玉県の幼稚園・保育所等で指導を試み、それらの結果をふまえながら、保育者自身に教材を活用してもらうために、曲の演奏サンプルを録音した音源を制作し、指導のための手引きを作成した。
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