本研究は、国際社会に生きる日本人として、多様な文化を尊重できる態度や資質を育む教育を推進するための教員の資質・能力の形成を目指して、「日本の伝統・文化」の理解教育を推進する教員研修プログラムについて、日本舞踊を教材とした試案を作成し、実践的に検証を試みるものである。 本年度は、最終年度として、前年度までに得られた日本舞踊に関連する実践・研究資料、「日本の伝統・文化」やその理解教育に関する実践・研究資料、さらにそれらの教員研修プログラムやその開発に関する実践・研究資料、日本舞踊の基本的な所作に関する研究資料等を総合的に検討した。そして、それらを総括して、日本舞踊を教材とした「日本の伝統・文化」の理解教育に関する教員研修プログラムとして開発した試案を作成し、本研究者がその実践を試みた結果について、検討した。具体的には、その教員研修プログラム試案のプロダクトとして、受講者の自由記述による回答などを交えて、本研究者による和文化の求道者としての体験的な省察を交えながら、総合的に学習の成果を検討した。なお、これらの研究成果については、学会で発表したり、論文として投稿したりした。本研究で取り上げる日本舞踊を教材とした「日本の伝統・文化」の理解教育や、それに関する教員研修プログラム開発は、その文化的な内容に加えて、その教育方法論そのものも重要であり、今後の他文化共生社会をみすえた日本の学校教育における価値ある教育に寄与すると考えられる。
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