美術科をはじめとする芸術教科でも教科内容の充実と同時に、総合的学習の観点からも表現教育の可能性が探求されている。本年度においては、芸術教科である美術科を表現教育として捉え、これを基盤とした総合的な教育内容とカリキュラムに関する研究資料の収集と学術調査を行った。さらにその際、表現教育として「音楽」の要素も取り入れるとともに、今日的課題である「映像教育」との有機的調和を可能にする教材、カリキュラムを作成することも視野に置き研究を行った。 現在、21世紀の人づくりのための教育改革が進行している。先般の教育課程の改訂では、教科間の教育内容の関連性に基づいた教育内容や教材を再構成したり、従来の教育方法に情報教育や環境教育などの新しい教育内容を有機的に調和させる「総合的な教育」の観点による教材研究、カリキュラム研究が必要となっている。 文部科学省では、「確かな学力」向上のため、平成15年度より「学力向上アクションプラン」を実施している。今後の新学習指導要領の基本的な目的は「生きる力」の育成であり、「生きる力」を知の側面からとらえた「確かな学力」養成のための取り組みの充実が必要となっている。そして、子どもたちの学びへの動機付けを図るとともに、学習意欲(学ぶ意欲)を重視し高めることが、とりわけ重要となっている。そのために、学ぶことの楽しさを体験させ、学習意欲を高めるとともに、学びの質を向上させる「総合的な学習の時間」の一層の充実が検討課題となっているのである。 本年度においては、そのための研究資料の収集と学術調査及びそれらから得られた知見を、各種の公募展及び学会等にて発表を行った。
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