美術科をはじめとする芸術教科でも教科内容の充実と同時に、総合的学習の観点からも表現教育の可能性が探究されている。本年度においては、芸術教科である美術科を表現教育として捉え、これを基盤とした総合的な教育内容とカリキュラムを研究した。 本年度の研究成果としては、美術を基盤とし、音楽及び映像教育を含めた総合的な表現教育におけるカリキュラムと教材の研究を実施した。美術教育の方法や教材として、音楽との融合は従来から試みられてきた。楽譜を造形化したり色彩に変換させたり、あるいは記号楽譜のように音楽表現からの造形化の試みも行われてきた。こうした試みは美術教育の方法や教材を開発するうえで一つの手がかりとなるものであった。このことは特に今日、小学校や中学校において、複合領域での教材研究やあるいは総合的な学習における教材研究の取り組みとして有効に機能すると考えられた。そのため、これらのカリキュラムにおける指導法の試案を研究し、検討した。また映像化された教材とそのデザインを行った。映像に関する教育は急速に進展する情報化社会において不可欠の内容を持っていた。その結果、ここでは美術と音楽・映像の融合により新たな表現教育の内容と方法が解明された。 そして本年度においては、それらの学術調査及び研究資料の収集及びそれらから得た研究成果に基づき、各種の全国公募展、国際作品展、学会等にて作品発表を行った。
|