研究概要 |
平成21年度A、B.C市を対象とした不登校減少対策開発研究の概要を以下に記述する。1. 目的:不登校児童生徒に対する市単位の系統的不登校対策を開発・検討し構築する。2. 対象:人口約5万の3市の全小・中学校(約30校)であった。A市は、15校中9校が対策希望校であった。方法:不登校事例及び予防状況のアセスメントを実施して以下の対策を立案した。(1)不登校発現予防対策:(1)教師のための「欠席連絡電話対応マニュアル」を教育委員会に提供し、各校への配布依頼をした。(2)希望校の事例検討会コンサルテーションを10校実施した。(2)評価:欠席対応実施確認のために管理職、教員アンケートを毎月実施した、また、朝の欠席電話対応をA市において学校訪問チェック(1回)を実施した。対策効果は、不登校数(前年度比較等)及び不登校発現率によって実施した。3、結果:(1)対策実施:現時点(平成22年5月)で全対象の欠席連絡電話時の対応に関する詳細な分析は終了していないが、昨年度より実施率は大きく向上していた。(2)不登校数(平成22年3月時点):A,B,C各市においては、対策開始前より小・中学生の不登校数は、それぞれ約40パーセント減、50パーセント減、35パーセント減となった。A市においては、全不登校数は平成19年度127人から平成21年度80人に減少した。不登校発現率は、各市において、約1%減少した。4. 研究成果と意義:(1)本方法論(アセスメント)が、市単位(5万人規模)の不登校減少に対して有効であることが示された。特に対策実施2年目の対策開始年比40%減少の成果は、先行研究と比較して優れた効果であるといえる。(2)実証的に検討された本不登校対策は、研究上の独創性と実際の不登校問題解消という社会貢献面でも大きな意義があったといえる。5. 課題:教師が対応に苦慮している保護者の理不尽な欠席理由の発現を減少させる対策の検討が必要である。
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