研究概要 |
「能動的数学理解を促進する教材・教具の開発」のテーマで、特に「微分の指導とその教具開発」と「確率の指導とその教具開発」の研究を行った。 「微分の指導とその教具開発」では、以前より作っていた「直線傾き計測具(セッセンサー)」を改良し、多数製作して高校の先生20数人に実際に授業で使用してもらっている。「直線傾き計測具(セッセンサー)」は実用新案として登録がなされた。微分の導入で、関数の1次近似を概念として生徒・学生が把握するのに優れているとの評価が報告されている。f(χ)=sinχや、f(χ)=e^x等の導関数が計算なしで、正確に予想でき生徒の好奇心を刺激するようだ。 「確率の指導とその教具開発」では、確率のもっとも大切な「大量現象の実験による相対度数の安定」という概念把握を生徒が能動的にするため、「変形サイコロ(サイドタ)」を多数作った。16mm×18mm×20mmの寸法で誤差0.15mm以内の正確さで、ジュラコン樹脂を使って製作した。これも、実用新案として登録がなされた。数学セミナー編集部(日本評論社)からの執筆依頼があり、確率指導の問題点と変形サイコロの有用性を書いた。その号に、一橋大学の藤田岳彦教授は、確率論からの見地から「直方体のサイコロと逆正接関数の多次元化」という変形サイコロの確率計算の論文を書き、研究に広がりが出てきている。できる限り多くの高校の先生に「変形サイコロ」を提供をし、実際に授業で使用してもらっている。生徒の確率への理解が変わったとの報告もきている。現在、150,000回以上の実験データが集まり分析をしている。 現在、上記の研究を進めながら、具体的指導方法のカリキュラムを作る作業を進めている。
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