平成22年度では、分析学習の実施方法に若干の修正を加えて教育実践を行った。 前年度まで用いていた自分の文章のカテゴリ分析を行う記録用紙(以下、分析シート)では、学生が考察部分の分析を行う際に、誤反応を誘発しやすいことがわかった。そのため、分析の観点がよりわかりやすいカテゴリ表を考案し、分析学習を実施した。分析シートの改良点は、考察部分の述部の対象となる(目的語)語句を明確に示し、誤ったカテゴリへのカウントを防いだが、この改良によっても課題の難しさを感じる学生も若干名いたためさらなる開発が必要だ。今年度のデータの収集と解析については、実習の時期が、年度末の時期となっているため、現在継続して解析を進めている。また、昨年度から実施した学生とは別の第三者(トレーニングを行った分析者)により、データの精度が上がることがわかったが、学生による分析が学習の主軸であるため、このギャップをいかに埋めるかも本研究の今後の課題であることがわかった。 分析学習を実施することによる教育効果として、従来同様、1.学生の日誌の記述傾向には、個人差や偏りがみられたが、それらの偏りをグラフ化して提示することで、自分の記述傾向について客観的に知ることができた。2.分析学習では、学生が自分で自分自身の実習日誌の記述文を一文一文丁寧に読み直すことによる「実習体験への振り返りや理解」が深まることがわかった。丁寧な読み直しは、文章の記述力だけでなく、実習学習そのものへの効果も期待されることが示唆される。今後、実習体験の振り返り(リフレクション)の観点からも分析を行い、教材開発につなげたい。
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