へき地・小規模校における特別支援教育の課題を、教科の指導、教員の研修、地域との連携に着眼し調査を行った。対象は、根室管内根室市、標津町、中標津町、羅臼町及び釧路管内標茶町である。それぞれの地域における特別支援教育推進の課題について聞き取りを行い、若干の濃淡はあるものの社会的資源の少ないこと、早期療育機関と小学校との繋がりができつつあること、中学校・高校との繋がりが未整備であることなどの共通の課題が明らかになった。保護者間の連携(親の会)は、根室、標津、中標津、標茶では組織化され、教員との関係もできつつあるが、羅臼ではその動きがなかった。特別支援教育コーディネーターの交流は、羅臼町では動きが見られたが、他の地域では、その組織化の準備段階であった。教科教育については、算数科に注目し、標津小学校における指導法について検討した。 また、長崎県における離島地域の特別支援教育の推進状況についで視察・調査を行った。ここで明らかになったのは、教員人事において計画的な配置を行っていること(30代の中堅教員を離島に配置している。道東地域で特別支援教育を担っている多くは、若手の教員又は臨時採用教員である)、特別支援学校の分教室を離島地域で活用しリソースとしていることである。また、熊本大学教育学部にて研究を進めているCBRについて研修を行い、道東地域における有力な戦略であることを確認した。日本LD学会において「社会資源の少ない地域における特別支援教育推進の課題'と展望」と題したシンポジウムを行い、道東地域の課題、熊本市、八代市の状況について報告・協議を行った。
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