研究概要 |
平成20年度は、大きく3つの研究を実施した。1) この縦断的研究の対象児童・生徒に対して、昨年・一昨年におこなった諸検査の結果を再整理した。調査項目 : STRAW,ディスレクシア特徴リスト、音読速度、RAN、音韻操作、視覚処理の成績およびこれらの関係。2) 中学生の英語の読みについての検討を行うことを前提に成人において音韻処理・視覚認知および日本語の読み速度と英語読みの成績の調査。調査項目 : 音読速度、RAN、音韻操作、英単語読み速度、英語文章読み速度、英語文章読み理解。3) 申請者の先行研究において協力をえられた対象児童・生徒への再調査。調査項目 : 1の項目に加えて、ローマ字・英語の読み書き成績。 1の分析の結果、低学年においては幼児期における音韻上の問題とひらがな一文字読み・有意味語読み・無意味語読み速度とで相関がみられた。一方、小学校高学年では、幼児期の音韻上の問題と無意味語読みの速度に相関がみられた。しかし、一文字および有意味語の読み速度と幼児期の音韻上の問題との関連は顕著ではなくなった。 2の分析の結果、成人においては音韻処理課題(音韻削除・音韻抽出)の成績・オブジェクトRANと親和性の低い英単語の読み速度の間に相関が認められた。一方、日本語無意味語読み速度と英語の読み速度では相関が見られなかった。 3については、2・3月の年度末に検査を行い、約30名の児童生徒の協力が得られた。現在分析中である。
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