平成21年度は、20年度に行った研究と同様の調査と分析をおこなった。1)縦断的研究の対象児童・生徒に対して、ここ数年おこならてきた研究について同様の調査をおこなった。また新たに関連すると思われる課題と質問紙を追加した。調査項目は、児童生徒に対しては、RAN(一文字・有意味語・無意味語・イラスト)、文章読み、音韻操作課題(音韻削除・音韻抽出)、単語と読み速度、虫食い数字読み、Reyの図形の模写、直後再生、遅延再生、ローマ字読み書き、中学生以上の場合は英語の読み書きについても調査をおこなった。担任には、LDI、RRSの記載を依頼した。保護者には加藤(2006)が指摘する日本のディスレクシアの特徴について懐古的に回答をもとめた。 また、平成20年度に実施した読み書き困難を示す大学生と健常大学生の日本語単語リスト、英語単語リスト、音韻操作課題(音韻削除・音韻抽出)についての結果について分析を進めた。 結果は、加藤(2006)のディスレクシアチェックリストで幼児期および小学校低学年該当項目数が高い児童・生徒は低学年でRAN全体と相関が高く、高学年では無意味語との相関が残った。また読み書き困難成人および健常成人の分析からは二重欠陥仮説を支持する証拠が得られ、児童生徒の結果も同様の傾向をしめしている。
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