報告者は、2003年から2010年にわたって主に発達障害児・者延べ160名に対して単語読み速度課題を中心とした読み書き課題を行った。結果は、次のことを示した。1)読み書き困難と関連が深いとされる無意味語(非語)の読み速度の発達的変化は、他の文字読み(一文字・有意味語・数字)と異なり、小学校の期間に急激な上昇を示す。2)無意味語の読みは、音韻削除課題とは相関を示すが音韻抽出課題との相関は低く、無意味読みには、音韻統合過程が関連すると推測された。3)音読速度に極端な遅れを示した児童生徒では数年にわたってその遅れは持続したが、多くの場合平仮名単語読みの遅れは年度を超えて持続するものではなかった。
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