研究概要 |
本研究は知的障害児を含む発達障害児に対する自立活動のカリキュラム開発を目的とする実践研究である。この目的を達成するため, 研究初年度の今年度は, 自立活動の研究を進めるための実践基盤を強固なものにすることを第一の課題として研究を進めた。実践研究を推進するために, 茨城大学教育学部附属特別支援学校小学部・中学部と連携し, 研究体制を構築した。その上で, 特別支援学校に多く在籍する自閉症スペクトラム障害児, ダウン症児, 動きのぎこちない知的障害児, 多動傾向のある期的障害児を研究対象として, 自立活動の教材開発および授業展開の方法について研究を進めた。その結果, 自立活動を「自閉症児のコミュニケーション指導」「ダウン症児の発音・発語指導」「動きのきこちない知的障害児に対する運動・動作の指導」「多動傾向のある知的障害児に対するムーブメント教育」の4つの柱を立てて自立活動を組織的・体系的に実践することができることを明らかにした。この研究を進める中で, 今年度の研究成果の一部を書籍『障害特性に応じた指導と自立活動』(新井英靖・茨城大学教育学部特別支援学校編著/松村多美恵・東條吉邦研究協力)としてまとめ, 2009年1月に刊行した。こうした研究成果を受けて, 次年度は, 今年度の研究で体制づくりができた4つの柱について, アセスメントから指導課題の析出, 実践展開, 評価に至るまでの「自立活動の体系化」について検討すること炉必要であると考えた0また, 自立活動を特別支援学校や特別支援学級で実践するために, 教師がどのように自立活動を指導する力量を形成していくかについても課題として挙げられた。次年度以降に, 教師の資質向上のためのプログラムなどについても検討していくことが必要であると考えた。
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