平成20年度は、重度・重複障害児のポジショニングについて当該特別支援学校の理解を得て、研究協力者である当該校の教員とともに、授業中のポジショニングのアセスメントとポジショニングの改善に取り組んだ。 授業1では、6名の重度・重複障害生徒の体育の授業であったが、集団での学習をより効果的なものとするためにクッションチェアーや車いすのポジショニングから、プローンにし、狭い学習空間の構成を行った。うち1名は胃ろうのため理学療法士の協力を得た。その結果、生徒の自発性が高まり、主体的な動きや要求行動、発声の頻度が増した。授業2は2名の生徒の主体的な視覚探索と主体的な上肢の使用を目指した自立活動(主として環境の把握)における車いす姿勢の改善である。授業3は、児童4名の朝の会の授業で、児童同士のかかわりを増し、主体的な活動を促すために、座位保持イスからうつ伏せマットやらくちゃんを使用して、前傾姿勢と狭い学習空間を工夫した。授業4は4名の児童の図工の授業で、座位保持装置を用いて上肢の操作性を高めた。授業5では、骨盤垂直位前傾の車いす姿勢において、体幹保持と上肢操作の低下がみられた生徒に対して、骨盤後傾でバックサポートにもたれることにより体幹の安定と肩甲帯の可動性を高めることを目的として、車いすの改善を試みている。この他、10名程度の授業中のポジショニングのアセスメントを行い、アセスメントシートの改良に取り組んでいる。
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