研究概要 |
本研究は,全国的に立ち遅れている「英語学習における聴覚障害学生支援」において,音声認識技術を用いた『音声同時字幕システム』を活用して情報保障をする方法を検討し具体的な提案をすることを目的とする。3年間の研究の初年度である本年度はその初期段階の研究として,主として以下の4点について実施した。 1)文献資料等によるデータ収集 全国的に聴覚障害学生支援に積極的に取り組んでいる高等教育機関での事例について,音声認識技術等の字幕による支援の現状と,英語の情報保障の現状について把握することを目的として,文書資料やインターネット等からデータ収集を行った。その上で,次年度以降の質的調査を行う際の課題を抽出する作業を行った。 2)音声認識による字幕システムの試験運用 音声認識エンジン,復唱・修正・表示用アプリケージョン,運用スタッフが従来と異なる形での字幕運用を,英語での運用の準備段階として,日本語の授業場面で実施した。 3)インタビュー調査の実施 十分に高度な書記英語の運用能力のある聾者5名を対象に,英語習得の方法や高等教育機関における英語の情報保障のあり方に関する要望を中心としたインタビューを実施した。 4)英語の字幕の読みに関する実験の実施 十分に高度な書記英語の運用能力のある聾者5名を対象に,英語の授業での音声をもとに音声同時字幕システムによって生成した字幕データを呈示し,本システム固有の読みの困難さ等について実験的に検証した。
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