プライミング効果とは相互に関係した刺激が継次的に呈示されると、先行処理によって後続処理が促進されるという現象で、文脈効果の一つである。教室での学習場面は時間軸に沿った、連鎖的な教材呈示と指示によって成り立っており、子どもの学習活動はプライスング効果によって促進され、効率化されていることが指摘できる。LD児の学習活動においても、プライミング効果は学習支援に有効であることが指摘できるが、認知特性にあわせたプライミング刺激のあり方については検討されていない。読字書字困難を示すLD児のワーキングメモリの特性として、音韻ループが弱いタイプ、視空間スケッチパッドが弱いタイプ、両者が弱いタイプがある。ワーキングメモリのサブシステムを学習課題に先立って活性化させることで、学習効果が上がる。 平成20年度では、単語の読み課題と書字課題について、ワーキングメモリのタイプに対応した形で、プライミング条件を設定する呈示ソフトの開発を行った。単語の読みは、小学校の国語教科書から選択し、教材作成の基礎資料とした。また、NIRS法測定データ解析ソフトの開発を行った。 平成21年度では、健常児り前頭前野な対象としてNIRS法測定を行い、発達基準値を得た。プライミング刺激としては、聴覚呈示条件、視覚呈示条件、視・聴覚呈示条件の3条件を設定し、データを収集解析した。 その結果、健常児では、小学1・2年生の低学年において、前頭前野の上・中前頭回が活性化しやすい傾向にあることを指摘できた。
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