プライミング効果とは相互に関係した刺激が継次的に呈示されると、先行処理によって後続処理が促進されるという現象で、文脈効果の一つである。教室での学習場面は時間軸に沿った、連鎖的な教材呈示と指示によって成り立っており、子どもの学習活動はプライミング効果によって促進され、効率化されていることが指摘できる。今年度の研究では、LD児の学習活動に、プライミング効果を適応し、効果的な学習支援方法について検討した。 支援課題としては、読み方をセグメント化する単語完成パラダイムを用いた。学習課題の冊子は1頁に1熟語の構成であり、同じ熟語を5頁連続で提示した。全部で4熟語・20頁の構成であった。反復学習群では全学習の記銘材料を全提示した。穴あき学習群では単語完成課題を応用し、読み方を穴あきで提示した。その結果、LD児群は、(1)反復方法では1回目の学習では全事例が2SD以下、2回目の学習でも4名が2SD以下にとどまった。(2)穴あき方法では1回目の学習では5名が2SD以下だったが、2回目の学習では2名のみであった。あわせて、学習課題遂行中のMRSを測定した。結果を比較すると、単語完成課題においてはdeoxy-Hbの増加は少量であり、著しい増加とならなかった。この特徴は、健常成人、LD児に共通であった。これより、数列完成課題は、過度の脳活動を必要としない効果的な学習を可能にし、 これより単語完成パラダイムは、漢字の読み学習に有効な支援課題である可能性が示された。
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