本研究は、視寛障害児・者に対する地図を学習するにあたっての効率的な指導ブログラムを検討・作成することが目的である。この指導プログラムはこれまでの視覚害教育にはみられなかったもので、その内容は、ある環境を確実に既知化してそれを地図化する、さらにこの既知化と地図化をセットとして、他の環境においても同様に実施することによって地図を学習させ、その概念化を図るというもので、既知地図化法と称している。全国の盲学校における歩行指導はまだまだ十分とは言い難い現状があるが、この指導プログラムはその充実に寄与するものと考えられ、さらに視覚障害者に対するリハビリテーションにおいても有益であろうと判断される。最終年度には盲学校教員を対象としたシンポジムを計画している。 検討・作成にあたっては、盲学校・特別支援学校(以降、まとめて盲学校とする)の協力を仰ぎ、事例を収集することによって既知地図化法の有効性を検証し、さらに一般的なプログラムの確立を図る。本年度当初の計画では研究協力者(教員)は次の6盲学校、7名であった。北海道札幌盲学校(1名)、奈良県立盲学校(1名)、大阪府立視覚支援学校(2名)、大阪市立視覚特別支援学校(2名)、兵庫県立視覚特別支援学校(1名)。しかし、研究対象は、小中学部の全盲、単一障害としていたのであるが、残念ながら、大阪府立視覚支援学校では研究に該当する対象児童が在籍していなかったため、実際は4盲学校、5名の研究協力者(教員)によって、本研究である既知地図化法の有効性が検証された。対象は、小学部2名、中学部3名の児童・生徒(いずれも全盲、単一障害)であった。総合して、すべてのケースにおいて既知地図化法は、昨年度同様、有効な指導法であることが確認された。また、並行して、指導プログラムの作成に着手した。本プログラムは、今後、さらに検討・修正を行う予定である。
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