研究課題/領域番号 |
20530888
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
岩坂 英巳 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (70244712)
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研究分担者 |
玉村 公二彦 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00207234)
越野 和之 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (90252824)
根來 秀樹 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (80336867)
飯田 順三 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50159555)
松浦 直己 東京福祉大学, 教育学部, 教授 (20452518)
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キーワード | AD/HD / 早期支援 / 心理社会的治療 / ペアレントトレーニング(PT) / ティチャートレーニング(TT) / ソーシャルスキルトレーニング(SST) |
研究概要 |
本研究目的は、注意欠如/多動性障害(AD/HD)に対して、ライフサイクルでの支援、特に幼児期の早期支援と思春期の自立に焦点を当てて、モデル開発、地域連携(研修含む)、そして効果判定等を行うことである。 (1)20、21年度の研究遂行の結果を踏まえ、脳生理学検査の内容に修正を加えて実施するとともに、包括的評価に向けて新たなソーシャルスキル尺度の開発に着手することとした。 (2)本学でのSSTへの参加児童5名について、SST1クール施行前・後に事象関連電位(ERP)とNIRSを測定したところ、4名に前頭葉機能低下が事前にみられたが、ERPにて事後に4名とも一部改善していた。 (3)新たに幼児版TTを保育士、幼稚園教師8名を対象に実施し、保育者の効力感の上昇と対象児の問題行動の軽減が見られた。幼児へのSSTについても県内療育園との連携のもとに実施した。 (4)学校現場に応じたTT、PT、SSTを協力校にて実施し、特にTTの有効性と連携のツールとしての有用性が示唆された。SSTに関しても学校でのマニュアルについて試案を作成した。 (5)SSTの実際場面を編集した啓発ビデオを作成した。(別途市販の「奈良教育大学版SST」DVDも出版した。) (6)PT、TT、SST指導者の養成講座を継続的に実施し、これまでの受講生がそれらのプログラムを所属校・機関にて実施するなど、プログラムの汎用化が進んできている。 (7)早期から思春期までの支援についてのシンポジウムを開催し、その報告集を発行した。 (8)これまでの成果について、日本精神神経学会(5月、東京)、日本児童青年精神医学会(10月、前橋)、国際児童青年精神医学会(6月、北京)にて発表した。また、発表内容の論文化も行った。 (9)新たな課題となった自己評価と他者評価をあわせたソーシャルスキル尺度を開発し、県内小学校の保護者1,130名、教師360名、こども1,335名の計2,885名への調査の結果、信頼性と妥当性が確かめられた。 以上より、幼児期から思春期までの包括的評価と治療プログラムに関して多くの示唆を得ることができた。
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