1. 障がいを理解するための絵本(以後「絵本」)を幼児教育・保育を志望する学生、保育者、障がい児の保護者らと共に制作し、その絵本をインクルーシブ保育・教育に効果的に役立てるために効果測定を行った。 園での読みきかせと配布のため仮製本を試みた「絵本」は(1)「たいせつなあなたへR(14頁)2009」:ダウン症をもつ保護者の気持ちの理解と英語翻訳付き改訂版、(2)「3ちょうめのゆうたくん(18頁)2009」:障がいの理解(3)「そらいろのきりん(24頁)2009:それぞれのちがい(少数派)の理解とその支援」、(4)「続・赤ずきんちゃん(28頁)2009:認知症の理解」を制作した。その内(1)から(3)の「絵本」を既存の絵本に追加して9ヵ所の保育園の年長クラスで読みきかせ、園児による描画とインタヴュー(録画)、保育士へのインタヴューと質問紙により効果測定を試みた。いずれも自分とは異なっている子どもに関心をもたせる事に役立つ事が期待できる結果であった。また、幼児のみでなく保護者も含めた読みきかせ会により、保護者の相互理解のきっかけを生み、障がい児の保護者への態度が改善されたことが認められ2009年2月教育委員会によりA保育所が表彰された。このことから今後保護者も含めた障がい理解のあり方が示唆された。「絵本」の読みきかせの効果的な方法も園児や保育士の反応を検討し、実践に役立つようにまとめた。また、小児神経医らからの意見から当事者が「絵本」を読んだ場合の配慮も気付かされた。 2. 保育所における障がい児の実態について調査し、結果を「絵本」制作に反映できるように、検討し考察を加え、名古屋女子大学紀要第55号(人文・社会編)に発表した。 3. 「絵本」の制作をとおして、幼児教育・保育に関わる学生らへの「障がい」を理解するための教育プログラムを更に検討追加した。 4. 社会的不利な立場を理解するための市販の絵本を分類しリスト化した。
|