研究概要 |
1.障がいを理解するための絵本(以後「絵本」)を幼児教育・保育を志望する学生、保育者、障がい児の保護者らと共に制作し、その絵本をインクルーシブ保育・教育に効果的に役立てるために効果測定を行った。 2,園での読みきかせと専門家等の意見聴取のため仮製本を試みた。「絵本」は(1)「あっくんとおじいちゃん(28頁)改訂版2011」:認知症の理解と解説付き、(2)「かっちゃん(32頁)2011」:肢体不自由児の理解とその支えあい方のヒント、「続たっくん(28頁)2011」:自閉症スペクトラム障がいの理解と友情、解説付きを制作した。 既存の絵本にそれらを追加して5ヵ所の保育園で読みきかせ、園児による描画とインタヴュー(録画)、定期的な保育士へのインタヴューと質問紙、関連の専門家らに質問紙により効果測定を試みた。いずれも「絵本」の内容や表現は適切で、障がいやそれぞれの違いの理解に効果が期待できるとするものが多かった。また、A保育園では「絵本」の保護者への読みきかせにより、健常の子どもたちも障がいのある子どもたちに育てられる部分は大きいという相互理解のきっかけが認められた。このことからも、その背景となる大人も含めた障がい理解のあり方、実践方法について様々な角度から検討する必要があると思われた。それらの結果を名古屋女子大学紀要第57号(人文・社会編)等に発表した。 3.障がいの理解を入り口とする人間性の成長過程について「絵本」による障がい理解の基本概念(幼児期)の仮説を考案した。障がい理解の本質や意義について、「絵本」制作の実践や研究による知見に基づいて、系統的に整理し理念を概念図にまとめた。そして制作した「絵本」を使用して幼児教育・保育の場で実践し仮説が現実に合ったものと確信を得た。 4.社会的不利な立場を理解するための市販の絵本を前年度版に追加しリスト化した。
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