本研究では、吃音のある子どもが自己の吃音と上手く折り合い、自己肯定感を培っていくために、子どもが個々の状況等に応じて、吃音及び自己について、どんなことをどのように学んでいけばよいのか、その指標、内容を明らかにし、指導・支援の方法、プログラムを検討・構築することを目的としている。本年度は研究最終年度にあたり、吃音者の生活意識や吃音及び自己の受容・理解等に関して収集した文献資料、成人吃音者や通級指導教室担当教員からの吃音及び自己理解に向けての教育内容に関する聞き取り資料、通級指導教室における実践事例に関する収集資料等の検討・整理・考察を進めるとともに、吃音のある子どもが吃音や自己の話し方の特徴、さらには自分自身について学ぶための学習内容・実践方法について事例的検討を進め、総合的考察を行った。 その結果、1.子どもが吃音について知る、学ぶことに向けて、「吃音自体についての知識」「吃音者とその暮らしについての知識」「自分自身の吃音への探求」等の観点と具体的要素の整理、2.「ワークシートによる学習」「言語関係図による学習」「小グループによる相互の吃音についての考えに触れる学習」等、具体的実践方法の整理、3.実践の参考となる教材、自己を捉えるための取り組み等についての整理、4.冊子「吃音を知る・学ぶ、自分を知る・学ぶための手がかり-吃音、そして自分自身と向き合うために-」の刊行、等の成果を得ることができた。今後はさらに、発達段階や個々の様々な状況も加味しつつ、指導・支援の内容・方法の体系化を進めていきたい。
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