研究概要 |
平成20年度は、研究計画に基づき、以下の2点に焦点を絞って、研究活動を行った。 (1)無限期間かつ連続時間におけるナイト流不確実性の理論とリアルオプションの理論の融合 : Nishimura and Ozaki(2007, Journal of Economic Theory)は、確率過程として幾何ブラウン運動を仮定し、無限期間かつ連続時間におけるナイト流不確実性の概念とリアルオプションの理論を融合させたが、その理論を、jmp processを含むより一般的な確率過程を分析できる理論へ拡張できるかどうか、研究を行った。年度内に厳密な証明を得ることは出来なかったが、複数の視点から、証明の可能性を探ることが出来た。次年度は、厳密な証明を完成させ、国際ジャーナルにその成果を投稿したいと考えている。 (2)ナイト流不確実性の枠組みにおけるリアルオプション理論の応用研究 : 研究計画に基づき、3本の論文を完成させ、国際ジャーナルに投稿し、そのうち2本は現在、改訂要求中である。一つ目は、外国企業の投資を促進するための最適課税に関する論文(Asmo,2008,国際ジャーナルから改訂要求中)、二つ目は、国連、EU、北欧諸国が環境政策実施に際して、政策決定の拠り所としている予防原則という考え方に理論的根拠を与えた最適環境政策の論文(Asmo,2008,国際ジャーナルから改訂要求中)、三つ目は、独占企業が市場に製品を投入する際の最適価格・最適品質決定に関する論文(Asano and Shibata,2009,国際ジャーナルに投稿・審査中)である。これら3本の論文が一日でも早く国際ジャーナルに採択されるよう、努力していきたいと考えている。
|