研究概要 |
本計画において、有限群の表現論、ブロック理論におけるブルエ予想(可換不足群予想)について、ブロックの共有するコホモロジー的性質の考察を通して研究をすすめた。計画初年度である20年度の研究成果は次のとおりである。 1. GF(q)上定義される有限代数群において、q-1を割る素数pの主ブロックの環構造を考察した。ある仮定のもと、種々のGL(p, q)の主ブロックが森田同値、Puig同値となることの証明が得られた。この考察においては、Scott加群の性質の解明が重要であり、相対射影被覆の理論の一定の整備を行った。他の型の有限代数群の考察に応用していけるものと考える。 2. q-1を3が割るとき、GL(3, q^2)、GU(3, q^2)の主3-ブロックは非可換不足群をもつが、3-局所構造を共有する。これらのブロックが安定的森田同値であることをRouquierの貼り合わせ理論の応用で、示した。これらのブロックが導来同値であることが予想される。有限コクセター群に付随して生じるRickard-Cabanesの複体の応用を図り、導来同値を与える傾斜複体の構成に継続して取り組む。 3. 上記複体は対称群のコホモロジー元の構成に有用であることが解明された。いわゆるDickson invariantsを与える拡大列を構成するとともに、相対射影被覆から生じる複体との関連を確認した。また、その応用として、対称群のSpin moduleのヴァライアティの決定に取り組み、概ね予期した事実を確認できた。シンプレクティック群のSpin moduleのコホモロジー的性質の考察にも応用したい。
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