研究概要 |
本計画において、有限群のブロック理論におけるブロック間の森田同値性、導来同値性について、ブロックの共有するコホモロジー的性質の考察を通して研究をすすめた。21年度においては特に、不足群が格別型p群の場合の研究に取り組み、次の研究成果を得た。 1.群^2F_4(2^<2n+1>)と^2F_4(2)の主3-ブロック間の森田同値性について考察し、川中の指標の持ち上げ理論がよく機能していることを確認した。また、分解行列が上三角行列になることを示し、森田同値性の状況証拠を一定揃えることができた。ひきつづき、指標の持ち上げの符号はすべて1であること、また、Brauer構成写像との整合性もよいことなどの解明に取り組みたい。 2.群M_<1 2>とSL(3,3)の主3-ブロック間の導来同値性の証明に取り組み、導来同値を与える傾斜複体の構成にめどがついた。Rickardによる古典的傾斜複体の構成理論が適用できる。次年度に完成させたい。また、群J_2とSU(3,3)の主3-ブロック間の導来同値性の証明に取り組みたい。 3.上記1,2の群の3-Sylow群は非可換の格別型3-群である。3-Sylow正規化部分群の群多元環の生成元、関係式を決定することができた。より利用しやすい形で与え、この型の3-群を不足群にもつ一般のブロックの考察にも応用したい。 4.有限群のコホモロジーの理論の整備にも取り組んだ。有限群のコホモロジー環の素イデアルが素因子であるための十分条件についてのD,Greenの結果の一定の拡張を証明した。
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