半単純実 Lie 群上の離散系列表現について,1)その具体的な構成方法,2)最小の K-タイプに付随する球関数の明示的な公式,について研究した.特に正則離散系列表現については詳しいことが判っているので,それを部分群に制限したときに現れる離散系列表現を調べた.その際に,任意の複素有界対称領域は Hermite 型のコンパクト Jordan 三重系から生ずることに注目する.一般にコンパクト Jordan 三重系の Hermite 化として Hermite 型コンパクト Jordan 三重系が得られるから,それに付随する半単純実 Lie 群上の正則離散系列表現を始めのコンパクト Jordan 三重系に付図する半単純実 Lie G に制限したユニタリ表現は,正則離散系列表現の最小の K$-タイプを G の極大コンパクト部分群に制限した表現からの誘導表現となることが知られているから,これに Hotta-Parthasaraty の離散系列表現の構成法を適用する.現在の課題は,制限して得られた G の極大コンパクト群の表現の既約分解を具体的に知ることである.Hamilton 四元数体上の行列からなるコンパクト Jordan 三重系の場合には,荒川により得られた離散系列表現の球関数が得られる.並行した問題を p-進群上でも研究した.特に標数 0 の非アルキメデス的局所体上の一般線形群の超尖点的既約表現についての研究結果はプレプリント ``On a spherical function of a supercuspidal representation of GL2(F) and its Fourier transform" にまとめてある.表現論一般につての教科書「群の表現論序説」を執筆した.本書は5月末に岩波書店より出版される予定である.
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