研究概要 |
1980年代に数理物理において研究が始められたW代数は、豊富な例を有する興味深い研究対象である。1990年代になって、頂点作用素代数の観点から、数学においても活発に研究がなされ、今日に至っている。本研究では、基本的なW代数のひとつであるパラフェルミオン頂点作用素代数を考察する。パラフェルミオン頂点作用素代数は、レベルkで階数1のA型アフィン頂点作用素代数におけるハイゼンベルグ代数のコミュタンとして定義される。過去数年間の研究で、kが小さい場合にパラフェルミオン頂点作用素代数の既約表現を分類した。この研究成果は、Chongying Dong, Ching Hung Lamとの共著論文としてJournal of Algebraの第322巻に掲載された。一般のレベルkの場合についても、パラフェルミオン頂点作用素代数の構造についてChongying Dong, Ching Hung Lam, Qing Wangと共同で研究を進め、得られた結果をJournal of Algebraの第323巻に発表した。これらと関連して、格子頂点作用素代数のオービフォールドについての田辺顕一朗との共同研究の成果を、European Journal of Combinatoricsの第30巻に発表した。さらに、日本数学会秋季総合分科会(2009年9月27日)で報告したほか、東京大学玉原国際セミナーハウスで開催された研究会(2009年8月22日)およびRIMS研究集会(2009年11月17日)で研究成果に関する講演を行った。
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