本研究の目的は、分岐条件を付けたガロアの逆問題を考察し、その応用として「代数体kの最大不分岐p拡大のガロア群Г(p)の構造解析」を行うことである。平成20年度の実施計画に記した計画の主たるものは、ガロアの逆問題の不分岐解を考察しその応用としてイデアル類群の構造を調べることであった。研究業績の概要は以下の通りであり、成果については研究集会「ガロア理論とその周辺2008」で研究代表者によって発表された。 任意のp群Gが、ある代数体k上の不分岐拡大のガロア群となることは、Frohlichにより既に証明されていた。しかしFrohlichの手法だとkの次数が大きくなってしまうと言う問題があった。今回得られた結果は、不分岐G拡大をできるだけ低次の代数体上で実現するというものであり、次のように述べることができる。 定理任意のp群Gに対して、有理数体上の初等アーベルp拡大kとその不分岐拡大K/kで、ガロア群G(K/k)がGと同型となるものが存在する。 系任意の自然数nに対して、有理数体上の初等アーベルp拡大kでそのイデアル類群が位数p^nの元を含むものが存在する。
|