本研究は基礎の代数構造を有限体からガロア環へ拡張し、そこでの組合せ数学、特に差集合、符号の新しい構成原理を得ることを目的とする.最終目的は2進拡大体での組合せ数学の理論構築であるが、途中にあるガロア環上での差集合、符号の構造、projectionを確定しながら、ガロア環のprojective limitである2進拡大体へ進む. 具体的には、標数と拡大次数を動かしてガロア環上に、その性質を保持し相互に構造上関連性のある差集合、符号の系列を構成する.この理論が構築できれば有限で離散的な構造における差集合、符号等のどのような性質が、2進拡大体の一般論から帰着し、また帰着しないかが分かり、従って有限離散構造特有の性質であるかが明らかになると予想している.そして、組合せ数学の 新しい知見を得て未解決問題、例えばHadamard予想などの解決への新しい手法の開発が期待できる. 申請時に、次の2項目を22年度までに達成する具体的計画としてあげた. (1)標数2^t(t:偶数)の任意の拡大次数をもつガロア環上に差集合の系列を構成する (2)差集合、符号に関係するガウス和を決定する.
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