Zariski-Riemann空間に関する幾何学的考察、とくにその位相的側面や、環付空間としての幾何学的側面について、初年度に得られた結果や観察を理論にまとめるための準備段階としての基礎的研究を行った。その位相的側面については、Zariski-Riemann空間の付値環との関わりから、とくに付値環や付値体についての代数的な理論、またその付値に関する組合せ論的側面を中心に研究を進めた。リジッド幾何学と関わる場合、つまり形式スキームから構成されるZarisk-Riemann空間の場合は、高さ1の素点が各点の極大generizationを構成するが、これらの点からなる空間、いわゆる分離商(separated quotient)の構造を記述することが重要となる。これらに関連した点論的問題、スペクトラル函手の基本性質などが重要な問題となり、これがひいては古典的なリジッド解析学における古典的なリジッド空間や、Berkovich空間などの関連した理論の対象との関連性を深く知る上で重要な鍵となる。環付空間としての幾何学的考察においては、特にその《代数幾何学》的側面との関連が重要であり、GAGA(解析幾何学vs代数幾何学)的側面や、アフィノイドと呼ばれる空間の場合には関連するスキームとの関係を詳細に解明することが必要である。そのため、これらについて精密で徹底的な理論を構成し、より一般的で網羅的な理論の枠組みの構築を目指した。さらに21年度は、リジッド幾何学的視点から以前取り上げていた、正標数における分岐の変更理論にも、その応用的展開を目指し、conductorが高い場合の分岐の変形について、興味深い現象を観察することにも成功した。
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