当該年度は主に次の2つの結果を得た。 1.非例外型KRクリスタルの結晶構造の決定 昨年、海外共同研究者のSchilling氏とともに、非例外型アフィンリー環に付随する量子アフィン代数のKR加群には結晶基底が存在することを示し、B型、D型、および、A_{2n-1}^{(2)}型の場合にその結晶構造を決定した。今年度はFourier氏にも共同研究に加わってもらい、非例外型の残りの場合、つまり、C型、A_{2n}^{(2)}型、および、D_{n+1}^{(2)}型の場合もKRクリスタルの結晶構造を完全に決定した。この結果は、それ自身基本的で重要であるのみならず、フェルミ公式に関する予想やソリトンセルオートマトンへの応用という点でも重要である。 2.いつKRクリスタルが完全結晶になるかの予想の解決 アフィンの有限クリスタルには完全結晶という概念があり、それに当てはまる場合はアフィンの最高ウェイト表現のクリスタルをそのクリスタルの半無限テンソル積で表すことができる。フェルミ公式に関連して、我々は2001年にどのようなKRクリスタルが完全結晶になるかの予想を提出したが、この予想を非例外型の場合にFourier氏、Schilling氏との共同研究で解決した。
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