研究概要 |
Faltings, Chaiによるモジュラー多様体の数論幾何的構成と、Boecherer,長岡によるジーゲル保型形式の持ち上げの理論に基づき、モジュラー多様体の数論幾何的研究を促進し、その成果をベクトル値ジーゲル保型形式の合同、P進理論に応用することにより、次の成果を得た。 ・標数正の体上のモジュラー多様体において、通常軌跡(ordinary locus)の代数幾何的性質を研究し、保型形式の合同問題とP進理論に応用した。 ・Swinnerton-Dyer,Serre, Katzにより得られていた楕円保型形式の合同理論とP進理論を、ベクトル値ジーゲル保型形式に対して拡張し、Deligne, Katzによる楕円保型形式のモジュライ理論的解釈を、この場合に拡張して定式化、証明した。 ・ベクトル値P進ジーゲル保型形式の例を考察し、岩澤型理論への展望与えることにより、これら数論における主要な研究対象についての本質的な理解を深めた。 また代数的テータ関数と非アルキメデス的テータ関数の理論を用いることにより、ソリトン方程式(KP方程式)の新しいタイプの解を構成すると共に、ヤコビ多様体の特徴付けに関するショットキー問題について、次の成果を得た。 ・代数的テータ関数と非アルキメデス的テータ関数を用いることにより、ソリトン方程式によるヤコビ多様体の特徴付けを与えた。 ・Trisecant条件とその接触版を用いて、標数正の体上のヤコビ多様体の特徴付けを与えた。
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