研究概要 |
今年度の研究テーマの一つは、昨年度に引き続き多重ディリクレ級数の具体例である、ルート系の多重ゼータ関数である。多変数関数論的側面から、本研究課題の連携研究者である名古屋大学大学院多元数理科学研究科の松本耕二教授および同研究科助教の小森靖氏とともにWitten型ゼータ関数およびその拡張となるルート系のゼータ関数・L関数の解析的考察についての共同研究を継続的に行った。さらにルート系に付随するBernoulli多項式を定義して、その性質を研究した。これらの結果に関しては、日本数学会の欧文誌Journal of the Mathematical Society of Japan,およびイギリス数学会の専門誌Proceedings of London Mathematical Societyに発表した。さらにこれらの関数を利用して、多重ゼータ値のシャッフル積公式と呼ばれるものの構造を具体的に研究した。さらにBarnes多重ゼータ関数と呼ばれるものに関して、その関数等式を精密化し、いくつかの応用を得た。これらの結果に関しては2009年11月にフランスのSt Etienne大学で行なわれた国際研究集会French-Japanese Workshop on zeta functions III'において講演を行った。また2009年10月には、京都大学数理解析研究所研究集会「解析数論とその周辺の諸問題」を研究代表者として主催し、海外からの研究者を招聘して集会を運営した。
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