研究課題/領域番号 |
20540025
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
中島 幸喜 東京電機大学, 工学部, 教授 (80287440)
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キーワード | 分裂単体的半安定多様体 / 層係数p進Steenbrink複体 / 層係数p進Steenbrink系列 / 擬モノドロミー作用素 / 相対Clemens-Schmid系列 / p進モノドロミー重み予想 / 単数根F-クリスタル / Steenbrink-Mokrane複体 |
研究概要 |
1.23年度は22年度の理論を層係数の場合に拡張した。22年度は一つの対数スキームに固定せず、基礎対数スキームの拡大と分岐を許した系列に対して、継続的分裂単体的安定多様体の概念を定義した。この新対象に対し、p進重み系列に関する基礎理論を構築したが、23年度は対数的極を持たない場合の層係数に対し、基礎理論を作った。定理として、次のことを示した。(1)p進Steenbrink複体の構成、(2)p進Steenbrink系列の構成、(3)p進Steenbrink複体の引き戻しに関する関手性、(4)p進Steenbrink重み複体の底変換。 2.対数的点の族上の固有単純軍規対数スキームの層係数のp進Steenbrink重み複体上の擬モノドロミー作用素の代表に対し、その核と余核を単純正規対数スキームの用語で記述した。すなわち、核は相対的な剛性コホモロジーで表し、余核は見かけ上の特異ファイバーに台を持つ収束コホモロジーを定義し、その収束コホモロジーによって、余核が表されることを示した。単純正規対数スキーム半安定族の特異ファイバーのときは、Clemens-Schmid系列の相対化と呼ぶにふさわしい系列を作った。一般の場合は、相対Clemens-Schmid系列の対数的点の族上への拡張と見なせる。また、層係数が自明のときは、この系列がストリクトであることを示し、p進モノドロミー重み予想が成立するならば、この系列が狭完全であることを示した。 3.基礎対数スキームの系列の底空間達がすべて、正標数の完全体のとき、継続的分裂単体的半安定多様体上の単数根F-クリスタルに対し、p進Steenbrink-Mokrane複体を構成し、このp進Steenbrink-Mokrane複体と1で作ったp進Steenbrink複体の間の比較定理を証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、予定していた適切な概念構成と適切な定式化、枠組みができ、さらにその証明が得られた。また、当初予定していなかった応用が見出された。
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今後の研究の推進方策 |
現在、草稿ができている当該研究の論文を最大限の注意力を持って、数十回以上推敲し、今年度中に完璧な論文に仕上げること。さらにその仕上げを同じ分野の専門家に公開し、あるいはプレプリントとして送り、広く意見を求めること。また、当該研究で得た一般的で強力な数論幾何学的結果をたいへん興味深くて深遠な整数論的結果に将来応用するため、他の優秀な研究者のプレプリントと論文を読破し、新たな着想を得ること。
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