研究課題
2元3次形式に付随する概均質ベクトル空間のゼータ関数について、谷口隆氏と若槻聡氏と共同で得た、従来の一般論では得られない関数関係式と自己双対的な関数等式の研究成果については、最初の4組のゼータ関数についての場合の結果を、American Journal of Mathematics誌上に発表した。後続の4組についての研究成果についても、谷口氏との共著論文を投稿中である。多重ゼータ値の関係式族について、複数の視点から課題研究を遂行した。ひとつは、高さ1の等号付き多重ゼータ値の双対的性質について、金子昌信氏と共同で荒川金子のゼータ関数と多重ゼータ値の和公式の一般化とを用いた証明を与え、具体的な関係式の形に書き下し、また同時に、一般の高さの等号付き多重ゼータ値に対する双対的性質の予想を与えた。この関係式は、多重ゼータ値のなす有理数体上の環において、ある種の双対的な和が常にリーマンゼータ値の多項式のなす部分環の元となるというものである。この結果は論文にまとめ投稿し、Int.J.Number Theoryに掲載決定された。一般の高さについての予想の証明については、年度末に証明の核となる関数の反転公式にあたるものの証明を得て、現在進行中である。また井原健太郎氏・奥田順一氏との共同研究での多重ゼータ値のqアナログについての巡回和公式について等号付きの場合と等号なしの場合の同値性の証明をいくつかの具体的応用とともにまとめた論文は投稿中である。以上を中心とする研究成果について、論文としての成果発表のほか、韓国・浦項工科大学数学研究所POSTECHを含む複数の場所において講演を行い、Choie氏(POSTECH)らから好評を得た。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
American Journal of Mathematics 131
ページ: 1525-1541
International Journal of Number Theory (掲載決定済, 未定)
http://www.math.kindai.ac.jp/~ohno/index.html