研究概要 |
東海大学の渡辺純三氏,北海道教育大学の和地輝仁氏,熊本高等専門学校の五十川読氏の協力の下で「完全交叉のレフシェッツ性問題とジェネリックイニシャルイデアルに関する研究」を行った.主な研究成果は以下の通りである. 1.昨年度に引き続き,アルティン局所環のリース元に関する研究を行った.「最強のジョルダン標準形を与える強いリース元のテンサー積も再び強いリース元になる」ことの証明手法を再検討すると同時に,レベル環とその標準加群のイデアル化により構成されるアルティンゴレンスタイン環に対して,その最強ジョルダン分解の計算方法について調べた.その結果,単純なunimodalヒルベルト関数をもつアルティンゴレンスタイン環で,弱いレフシェッツ性を持たない例を組織的に構成する方法を見つけた.これらの成果は,渡辺純三氏との共著として論文にまとめ専門誌に投稿している. 2.「Generic initial ideals of some complete intersections in four variables」と題して日本数学会で一般講演を行い,4つの単項式からなる完全交叉の逆辞書式順序によるジェネリックイニシャルイデアルに関する研究成果を発表した. 3.完全交叉のレフシェッツ性問題に関するこれまで数年間の研究成果をもとにして,共同研究者とともに,大学院生や若い研究者向けの本を執筆している.23年度中にホームページで公開するとともに,専門誌へ投稿する予定である.
|