研究概要 |
「ホップガロア拡大」は、可換代数の立場から「群スキームのtorsorの非可換化」、非可換代数の立場から「強次数っき環の一般化」として説明できる。ホップガロア理論の応用として、量子包絡環のコサイクル変形による構成法を考案した。アイデアは極めて単純であって、知りたいホップ代数を、適当な分かりやすいホップ代数のコサイクル変形として捉えて(それは2つのホップ代数の上の、正規底をもつbitorsorを構成することに他ならない)、そこから知りたい情報を引き出そうというもの。このアイデアに基づき、極小準三角点状ホップ代数の記述を与え、結果を論文"On mintmal quasitriangular pointed Hopfalgebras",J.Math.Sci.Univ.Tokyo16(2010),pp.545-576として出版した。またホップガロア理論の別の応用として、スーパー代数群を、最も一般的な函手的見地から研究した。特に、スーパー幾何学における基本問題である商構成について、Alexander N.Zubkovと共同研究を行い次を証明した。スーパー代数群スキームGをその閉部分群スーパー群スキームHで割って得られる商層G//Hは必ずネータ的スーパースキームになる。これを含む研究成果を"Quotient sheaves of algebraic supergroups are superschemes"arXiv 1017.2236にまとめ投稿し、イスラエルBen Gurion大学で開かれた研究集会「非可換代数と量子群」(2010年5月24~27日)にて発表した。さらにホップガロア理論を応用して、微分・差分統一ピカール・ヴェシオ理論について研究し、研究成果をスペイン・バルセロナ大学で開かれた研究集会「ガロア理論と明示的方法」(2010年9月6~10日)と米国ニューオリンズで開かれた米国数学会年会(2011年1月6~9日)にて発表した。
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