昨年度までに2変数および一般変数のヤコビアン予想について同値な位相幾何学的な命題を定理として証明し、その定理を用いて同予想の位相幾何学的側面を検討、予想そのものめ証明への一つの具体的方法を提案、その提案に沿って研究を進め大きな成果を得た。同予想を有限分岐被覆の問題ととらえ、上記予想が正しいことと分岐集合が空集合であることは同値であることに注目、そのような被覆の存在の可能性を調べることが本研究の予想の解決にむけての基本的アプローチであった。すなわち存在するとしてそのみたすべき代数的、位相的性質から予想を肯定的に証明するか、反例があるとすればその構成の方法の探るという方針で進めてきた。その結果存在するとすればそれは位相的にきわめて特殊な条件を満たさなければならないことが判明した。より具体的には分岐集合のホモトピーについての満たすべき条件と代表者が導入した擬有限点の関連を明らかにし、それを用いてこの分岐被覆の様々な位相的性質を得ることに成功した。これらの成果はその途中経過として 浅沼照雄「ヤコビアン予想の位相的側面」第54回代数学シンポジウム報告集p99-108にその詳細が報告されている。なおこの報告集はウエブ上でも公開されている。
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