研究概要 |
本年度は,(1)同型でない全射自己正則写像を持つ正規射影的代数曲面の分類,(2)同型でない全射分離的自己正則写像を持つ正標数の非特異射影的代数曲面の分類,(3)普遍被覆空間がアフィン空間となるコンパクトケーラー多様体についての予想,を研究する予定であったが,(3)についてはほとんど手が付けられなかった. (1)については一昨年から論文を書いているが,ページ数が200を超え,執筆はまだ終わっていない.ただし,本年度は有理曲面の残された場合の分類の記述について,ある程度の進展を得た.その成果とは,ピカール数が3以上でその残された場合に属する曲面は,トーリック曲面に非常に近い類(具体的に定義される)に属する,というものである.ただし,この類に属し,かつ全射自己正則写像を持つ曲面の例はまだ見つかっていない. (2)については,標数ゼロの場合の議論,(1)の研究で得られた手法,正標数の楕円曲面等の構造定理をうまく利用して,見通しの良い分類結果を得た.これについてはプレプリントを書いた.小平次元が非負の場合は完全な分類を与えている.
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