研究課題/領域番号 |
20540046
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
土基 善文 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 准教授 (10271090)
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研究分担者 |
松澤 淳一 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00212217)
吉冨 賢太郎 大阪府立大学, 総合教育研究機構, 講師 (10305609)
菊地 克彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50283586)
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (10315971)
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キーワード | 非可換代数幾何学 / 射影幾何学 / 射影的加群 / 反射的加群 / Jacobian問題 / Dixmier予想 / シンプレクティック構造 |
研究概要 |
ワイル代数Aの研究は、Jacobian問題やDixmier予想と密接に結び付いている。とくに、A上の階数1の射影加群がどのくらいあるか、それの構造がどんなものであるか、は基本的な疑問である。 本年度、研究代表者はA上の射影加群をよく調べるために、考える対象をA上の反射的加群にまで広げてみた。結果は二つで、まず一つ目として、Wは二つの単項イデアルの共通部分として表されることを示した。これにより、反射的加群の例をいくらでも構成することができ、そのなかから射影的加群を選びだすというアプローチが可能になる。つぎに二つ目として、Wの射影空間への反射的層としての延長Fが存在することを示した。Fは、「Serre捻り」を除いて一意的で、とくにその特異点はWのみから決定される。さらに、Fは、Wが自明でない場合には必ず特異点を持つことも示した。このことは、Fの特異点集合がWの不変量として機能することを表している。現在論文を投稿中のこれらの結果は「アフィン空間のシンプレクティック自己写像がすべてWeyl環の自己準同型写像の影として得られる」という予想の解決の大きなステップと考えられ、これと研究代表者による過去の結果を合わせることによりDixmier予想の解決の進展が期待されるところである。 その他、非可換幾何学についての多様な例が研究分担者のアイディアを用いることで得られることが認識された。具体的には、代数群の作用に関する不変微分作用素のなす環が挙げられる。これはWeyl環に関する議論の自然な拡張とみなせるから、以後の研究の有力な題材を与えることになる予定である。
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