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2008 年度 実績報告書

モーデル・ヴェイユ格子理論の展望と代数曲面論

研究課題

研究課題/領域番号 20540051
研究機関立教大学

研究代表者

塩田 徹治  立教大学, 理学部, 名誉教授 (00011627)

キーワード楕円曲面 / モーデル・ヴェイユ格子 / 球の詰め込み / K3 曲面 / abc-定理
研究概要

交付申請書の「研究の目的」および「研究実施計画」に即していえば、そこで研究テーマとしてあげた次の二つの問題:
(A)K3曲面と球のつめこみ問題、および
(B)“Semi-stable extremal"な楕円曲面の存在、有限性定理と定義体
についての研究を完成させ、下記「研究発表」欄の第1、第2の論文として公表した。また、後者についての東京大学におけるレクチャーノートも出版された。
(A)では、6以下の正整数nと2つの連続パラメータを持つ具体的なワイヤストラス方程式で定義される楕円K3曲面について、パラメータを固定したとき、曲面の超越格子の構造がnについてどう変化するか、を決定した。これからモーデル・ヴェイユ格子、ネロン・セヴェリ格子の構造も決定される。証明のキーの一つは、球のつめこみ問題と関係付けることにより、格子つめこみの密度の知見をK3曲面の幾何学に応用することであった。この結果の意義は、超越格子が決定できるK3曲面のリストを従来より大幅に増やすことに成功したこと、さらにこれらのK3曲面が具体的な定義方程式をもっていることにより、代数幾何的・数論的視点からより精細な研究を可能とする点にあると考える。
(B)では楕円曲面を1変数多項式環のabc-定理との関係で考察した。とくに、abc-定理で等号が成立する場合に注目してBelyiの定理を適用するにより、一般の算術種数の場合に、射影直線上のsemi-stable extremalな楕円曲面の存在を確立した。さらに、それらの曲面の同型類の個数の有限性、および曲面の適当なモデルが有限次代数体上に定義されることも併せて証明した。これは、有理楕円曲面(算術種数1)やK3曲面(算術種数2)に関するBeauvilleやMiranda-Perssonの既知の結果を拡張したもので、今後の楕円曲面の研究にとって重要であると思う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] K3 surfaces and sphere packings2008

    • 著者名/発表者名
      SHIODA, Tetsuji
    • 雑誌名

      J. Math. Soc. Japan 60

      ページ: 1083-1105

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The abc-theorem, Davenport's inequality and elliptic surfaces2008

    • 著者名/発表者名
      SHIODA, Tetsuji
    • 雑誌名

      Proc. Japan Acad. 84A

      ページ: 51--56

    • 査読あり
  • [学会発表] Curves on Fermat surfaces revisited2009

    • 著者名/発表者名
      SHIODA, Tetsuji
    • 学会等名
      Conference“Arithmetic and Algebraic Geometry related to Moduli Spaces"
    • 発表場所
      Univ Tokyo
    • 年月日
      2009-01-20
  • [図書] abc-定理, 楕円曲面, モーデル・ヴェイュ格子(東京大学数理科学レクチャーノート 4)2008

    • 著者名/発表者名
      塩田徹治
    • 総ページ数
      78
    • 出版者
      東京大学大学院 数理科学研究科

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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